街中にある普通の公園にも貴重な歴史が詰め込まれているのが大阪流なのです。
というわけでとある夏の日、僕は大阪府大阪市天王寺区にある生玉公園という場所にやって来ました。天王寺とはいえ、あべのハルカスや動物園からは少し離れた場所にあるので、若い人はあまり寄り付かない場所かもしれません。
そんな生玉公園ですが、一見すると普通の公園だが『生玉公園地下壕』という防空壕の痕跡があったり、明治時代には『浪花富士山』という展望台があったりして、今も昔も天王寺は観光に適した街であったということがわかります。
(撮影時期:2017年10月)
大阪最古の神社『生國魂神社』のお隣にある『生玉公園』
生國魂神社(いくくにたまじんじゃ)
ここは生國魂神社、通称「いくたまさん」である。大阪最古の神社ともいわれているらしく、参拝する人も多いです。
今回目的の生玉公園(いくたまこうえん)はこの神社のすぐお隣にあるにもかかわらず、意外と立ち寄る人が少ないのです。
神社から徒歩15秒で着きます。
生玉公園(東側の出入口)
生玉公園は2か所にわかれている公園ですが、防空壕や浪花富士山跡があったのはこちらの野球用グラウンドのあるほう。
もう少し奥へと歩くと遊具のある広場に着きます。
かなり不気味な雰囲気な公園なのです。ゆえにあまり人も近寄らないのですな。お隣の神社にはたくさんの方々がいるが、こちらの公園は僕一人だけという・・・。寂しい。
でも後から観光目的らしき外国人の方が2人来ました。この日は野球グラウンドは誰もいませんでしたが、たまに少年野球チームが練習や試合をしていることもあります。
いまはもう跡形もない・・・『浪花富士山跡』
このような看板がありました。どうやらここは浪花富士(なにわふじ)と呼ばれていた展望台があったらしいのです。明治22年なので、かなり昔。
ここに浪花富士があったのだろうか。それともさきほどの野球グラウンドのあたりか・・・。高さ18メートルなのでけっこう大きいハズ。
残念ながら跡形もなくなっていて、浪花富士の姿を拝むことはできない。
写真をよく見ると、たしかに展望台には富士山の絵が描かれている。黒と白の円錐形の展望台。木造の漆喰塗りということらしい。
昔から天王寺は庶民の行楽地として栄えていたみたいで、田楽店・だんご店があったらしい。そして展示としては「人工の滝」や「生人形」もあったみたいだ。生人形とか不気味すぎるな・・・。夢に出てきたらトラウマものですわw
『生玉公園地下壕』の跡を探す!
浪花富士の横にはこのような道が続いてます。上の写真、左の方に石の塔がある。
まるで煙突みたい。浪花富士の残がい?・・・それとも地下壕の目印なのか?・・・。実はちょうどこの煙突のしたに地下壕があるのだ。
地下壕は山のような場所にあって、曲がりくねった階段がある。
とりあえず一番下まで階段を降りることに・・・。
すると生玉公園地下壕の詳細が記されたプレートがあった。
この地下壕の建設経過などの詳細は不明とのことだが、戦争末期には陸軍が使用していたらしい。空襲に備えるための都市防空壕とあるが、もしかしたら軍隊の基地的な使い方をされていたのかもしれんな。知らんけど。
公園じたいは1942年(昭和17年)から開園したみたいだ。
強制連行などで集めた朝鮮人が地下壕建設の過酷な労働に従事させられたとある。なんだかあまり想像したくない事実が隠されているのかもしれないね。
地下壕跡っぽいのがさっきの階段の壁の部分に残っている。
よく見ると、壁に白いコンクリートを塗り固められた跡?がある。これが地下壕の跡なのかな? その少し上には大きなアーチ状ヒビ割れ跡もあるが・・・色々と補修されたあともあるな。
上の写真以外にも補修跡がないか壁をチェックしてみたが見つからなかった。
そういやさっきのプレートに書いてあったんだが、地下壕の内部の構造はアーチ状で無筋コンクリート造り・2階建て(ただし、2階部分は現存せず)で、本体は幅約9m、高さ約6.5m、長さ約24m、1階部分の床面積203㎡となっています・・・とのことだ。かなり大きなトンネル的な防空壕ってことかな。壁にアーチ状のヒビ割れが入っているのは、老朽化のせいで防空壕の形に沿ってヒビが入っているのか・・・? それとも関係ないのかな・・・? ちょっとよくわかんねーや。
とにかく、もう今後一切使うことがないよう祈ってるぞ。
一歩外に出れば都会
冒頭でも言ったように、生玉公園は天王子という都会のど真ん中にある公園。公園内は薄暗くて少し気味が悪いが、一歩外に出ると車が走る走る! とてつもなく騒々しい!
生玉公園(西側の出入口)
まあ、防空壕跡があるとはいえ、封鎖されて中も見れない状況。浪花富士も跡形もない。とくに見どころというものが無いから、公園を訪れない観光客が多いのも頷ける。
まあ興味がある方は、生國魂神社で参拝したついでにちょいと寄ってみてはいかがでしょうか。
『生玉公園』の場所
グーグルマップ